成功を勝ち取るネット株
「シヤーク・リベレント(サメよけ)」と呼ばれる手法も、手続き上のテクニックです。
「スタッガード・ボード」と呼ばれる手法は米国で人気のあるものの例で、例えば取締役会を1年に3分の1しか選出しないようにする、すなわちA社がプロキシー・ファイトを実行できなくするテクニックです。
「黄金株」戦術は、日本でも実行可能になりました(ヨーロッパでは可能ですが、米国では不可能です)。
これは、主要な事業取引をたった一株で否決することができる株式を指します。
米国でもっとも人気のある敵対的買収防衛策は、 「ポイズン・ピル(毒薬)」と呼ばれるもので、これは別名「株主権利プラン」 (SPR)とも呼ばれます。
これは、マーティン・リブトンという高名なM&A専門弁護士によって、 1980年代に米国で編み出された方法です。
この手法にはいくつかのバラエティがありますが、もっとも一般的なのは「フリップ・イン」と呼ばれるものでしょう。
これは、敵対的買収を仕掛けられる以前にT社が発効させるもので、具体的には、株主に特殊な「権利」を分配するものです。
これらの「権利」は、取締役がSRPを了承したときに設定されます。
権利自体は、その時点で行使できないこともないのですが、非常に高い行使価格が設定されています。
しかし、一旦A社がT社の株式を10%、15%、またはそれ以上の割合で保有したことでSRPに設定された「トリガー」が引かれると、 A社以外の全株主が、付与された「権利」を安価で行使できるようになります。
具体的には、権利を保有する株主は、 T社の新株を大きくディスカウントされた金額で購入することができるようになるのです。
もし皆がこぞって株を買い出せば、相対的にA社の持株比率は劇的に低下し、かつ、発行済株式を100%掌握するには、莫大な金銭が必要になってしまいます。
もちろん、 T社の取締役会がA社の提案を受け入れるならば、 「ピルの無効」を決定して買収手続きを進めることもできます。
ひるがえってこれが、 A社が委任状争奪戦を繰り広げる理由でもあります。
ポイズン・ピルは、日本でも大きな存在になりつつあります。
MOJ (法務省)とMETI(経済産業省)は2005年、買収ガイドラインで、ポイズン・ピルを容認しました。
これらの政府機関がたいへん信頼を置き、頼りにしたのが、会社法分野でアメリカ裁判制度をリードする、デラウェア州裁判所からの情報です。
1980年代に仕事でポイズン・ピル案件を扱っていたとき、私は、マーティン・リブトンの基本様式を全てコピーしました。
今日、日本の大手弁護士事務所は、彼ら独自の「プライベート・レーベル」バーJの様式をもっているようです。
E]本の裁判所でポイズン・ピルを容認したところはいまだ一つもないにも関わらず、です。
米国の歴史の中で、ポイズン・ピルがトリガーされたことはいままで一度もない、と聞くと、きっとびっくりするのではないでしょうか。
ポイズン・ピルはむしろ、米ソ冷戦時代の核兵器のような役目を果たしているようです。
つまり、防戦効果があるということです。
その存在により、 A社は、トリガーにいたる「前」に、取締役会と交渉するように仕向けられます。
日本では、この「冷戦」の伝統が破られています。
2007年夏、ブルドックソース社が米国のバイアウト・ファンドであるスティール・パートナーズ社による敵対的買収に対抗して、このトリガーを引きました。
裁判所がポイズン・ピルの有効性を支持してから、たった数週間後のことです。
個人的な意見ですが、これは、双方の未熟さを露呈する行動だったように思います。
冷戦によって双方が実利的な解決策を模索することができる、というのが冷戦の冷戦たる意義なのです。
将来、もし日本での敵対的買収が同様の経緯をたどるようになったら、それこそ悲劇です。
この種の闘争は経営陣のみならず、従業員やプロフェッショナルたちも翻弄し、彼らが生産性を高めることによって社会や経済に貢献する妨げとなるでしょう。
もしかしたら、これを読んでくださっているあなたは将来、 M&Aの手法全てを駆使するようになり、 M&Aなんて簡単だ、と思うようになるかもしれません。
そうなった暁には、しかし、自分の優秀さを誇る前に、簡単にできるようになったからといって、それが「より良い」結果になっているとは限らないことを、肝に銘じてください M&Aの成否は、その完了後、 A社とT社をうまく溶け合わせる点にかかっています。
これは一般的に「M&Aインテグレーション」と呼ばれます。
続きは次節でお話しします。
ずっとほしかった最新流行の高級電化製品を手に入れた日、自宅に飛んで帰ってそれをウインドウズベースのPCに接続してみたら、なんと折角手に入れた製品はマック版だった!もしくは、自宅に必要なケーブルがなかったばっかりに動かない!などという経験はありませんか?がっかりもここに極まれりと言う感じですね。
もっとがっかりなのは、店頭でもうちょっと注意深く、箱に書かれている説明を読んでおけば、そのがっかりを防げたかもしれないのに、という点です。
M&A取引の経験者の多くも、これと似た苦い経験をしています。
違うのは唯一、間違いの修正のために、秋葉原や新宿の専門店にひとっ走りすればいいや、というわけではないところ。
今回は、買収した会社を既存のビジネスに統合する際、つまりM&Aインテグレーション(統合)において重要なことは何か、ということを見て行きたいと思います。
同時に、取引をクローズする「前」に十分な注意を払っていれば、インテグレーションの際に発生する問題の多くを防ぐことができる、ということも見て行きましょう。
インテグレーションは、全てのケースに最適だというわけではありません。
例えば、買収する側(A社)が持株会社で、買収した会社(T社など)を別事業体として取り扱う場合。
このような構造をとる場合の多くは、 A社は将来的にT社を売却しようと考えています。
ですから、この種のケースでは、 A社は「ファイナンス的カルチャー」を持つ、と言ってもいいでしょう。
A社は、最先端のマネジメントテクニックをトップダウン式にT社に与え、 T社の価値を高めることに専念します。
かの有名な投資家 ウオーレン・パフェツトが率いるバークシャー・ハサウェイ社や、コールハーグ・クラピス・ロバーツ社(KKR)などが、この文化を持つ代表例です。
今回は、これとは対照的な文化、いわば「戦略的カルチャー」に注目したいと思います。
この文化の下では、 A社の既存オペレーションに統合されることによって、 T社がA社に付加価値を与えることになります。
もちろん、 T社の全てがA社の価値上昇に貢献するとは限りません。
T社には、 A社が閉鎖したい、もしくは自社とは分離しておきたいと思っている部門やビジネスがあるかもしれません。
A社は、ディール(取引)がクローズ(締結)に至る前に、 T社の各部署もしくは各要素を今後一体どうしたいのか、見極めなくてはなりません。
ここで言う「クローズ」とは、取引が法的に発効する瞬間を言います。
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